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「赤貧の洗うがごとき心もて」足尾・渡良瀬の民衆と田中正造

価格:733円

発刊にあたって

足尾銅山がもたらした地域住民への被害は、世紀を超えて、いまだにその生々しい傷跡をさらしている。銅山の操業によって、2つの肥沃で自然豊かな土地が抹殺された。1つは製錬から起きた煙害によって抹殺された松木村であり、もう1つは、鉱毒によって抹殺された、来年(2006年)百年目を迎える谷中村である。
立ち上がった田中正造は、「谷中村の死は日本の死なり」と政府に、古河財閥に迫った。正造が身命を賭して挑んだのは、鉱業という1時的な事業を最優先する政策によって、永久的農業が滅ぼされ、山河が荒らされ、人道が破壊され、人類を滅亡に至らせることが明らかであったからである。その主張は科学的根拠に裏づけられ、それゆえ一切の妥協を排し、生を全うしたその日まで身体を張って戦いつづけた。
正造の国会での血を吐く思いの演説は、富国強兵策を推進する政府と財閥の手によって、無視され続けた。議会政治の限界を悟った正造は議員を辞し、天皇直訴の行動を興し、そのことを通じて鉱毒問題を一気に全国的に広げた。世論は沸騰した。そして、この正造の思想と何ものをも恐れぬ実践の行動は、実に多くの有為な当時の若者の心を揺さぶり、身命を投げ打って正造と行動をともにさせた。「偉大な人物の遺産は我々1人1人に与える影響である」(ケネス・ストロング『岩波・田中正造全集』月報十4)とすれば、田中正造こそまさに偉大な人物といえるだろう。
正造が、今私たちに問いかけているものは、人類の未来をかけてとりくむほどの大きさと深さを持っている。谷中村廃村百年を迎えて発行するこの冊子が、正造と共に戦った民衆の成果、非妥協の精神を貫いた人たち、そして歌に託した正造の精神をあらためて心に刻み、この国を亡国に至らせないための戦いのたいまつとして、多くの人に火を継いでいただければ幸いである。

2005年7月
「赤貧の洗うが如く心もて」発刊委員会

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