2024.10.21
キネマNETで視聴できる作品をご紹介!~『弁護士 布施辰治』編~
皆さんは弁護士の布施辰治という人物をご存じですか?
布施辰治(ふせ たつじ、1880年(明治13年)11月13日 – 1953年(昭和28年)9月13日)は、日本の著名な弁護士および社会運動家であり、特に労働運動や社会正義のために尽力した人物です。
今回はそんな布施辰治の生誕130年を記念して作られたドキュメンタリー作品『弁護士 布施辰治』についてご紹介します。
目次
1.そもそも布施辰治とはどんな人?
2.『弁護士 布施辰治』はどんな作品?
3.『弁護士 布施辰治』の見どころポイント
4.さいごに
1.そもそも布施辰治とはどんな人?
布施辰治は宮城県石巻市で生まれ育ち、その後上京しロシア正教のニコライ堂で学びますが、最終的には明治法律学校(のちの明治大学)にたどり着き卒業しました。
1902年、布施は司法官試補として宇都宮地方裁判所に赴任しましたが、哀れみ深い布施は「刑法は血も涙もない。機械的に法律を適用しているようなこんな所にはいられない」と考え、辞職しました。
その後、布施は弁護士としてのキャリアをスタートさせ、特に労働者や貧困層の権利を擁護するために活動しました。彼の弁護活動は、多くの場合、社会的に弱い立場にある人々のために行われました。
また、労働運動の積極的な支持者でもあり、労働組合の設立や労働者の権利向上に尽力していました。反戦運動や女性の権利運動にも関与しています。
彼の弁護士としてのキャリアの中で、特によく知られている活動と言えば朝鮮独立運動に関する事件の弁護でしょう。その功績が認められ、2004年には韓国政府から建国勲章愛族章が授与されました。布施は日本人として唯一の大韓民国建国勲章受章者となっています。
戦後も布施は引き続き社会運動に関与し、日本の民主化や平和運動に貢献しました。彼の活動は、多くの人々に影響を与え、今日でも尊敬されています。
布施辰治は、日本における人権擁護と社会正義の象徴として知られています。彼の活動は、特に弱い立場の人々の権利を守ることに焦点を当てており、現代の人権運動にも大きな影響を与えました。彼の人生と業績は、日本の社会運動史の重要な一部を成していると言えるでしょう。
2.『弁護士 布施辰治』はどんな作品?
布施とかかわりが深い人物を中心にインタビューしながら、布施の弁護士人生を振り返る内容となっています。
インタビューや当時の新聞記事などで布施という人物に迫るパートと布施のエピソードを再現したドラマパートを交互に重ねながら、布施の活動について知ることができます。
布施辰治は当時さまざまな問題に切り込んだ人物ですが、この作品は特に、当時の在日朝鮮人をはじめとした朝鮮の方々の人権問題と、布施がいかに当時の朝鮮の方々を熱い想いで弁護したかというところにフォーカスして描かれます。
3.『弁護士 布施辰治』の見どころポイント
再現ドラマのパートも良いのですが、この作品の見どころは布施とかかわりが深い方へのインタビュー部分ではないでしょうか?
この作品にはインタビュー・証言者としてなんと18名もの方々が関わっています。それぞれの立場から見た布施の姿を知ることで、今まで見えてこなかった布施の新たな一面を垣間見ることができます。
個人的には、布施の孫にあたる大石進さんのインタビューが興味深かったです。身内だからこそ見えてくる布施の温かみや切なさを感じました。
大石進さんのインタビューの中で特に印象に残っているのは、布施がどうして弱者の弁護ばかりを引き受けるのかについてのエピソードです。
お金持ち同士の事件は大きな金額が動くので、大事件として扱われます。しかし、負けたとからと言って誰かが命を落とすようなことはありません。
一方で、あまり裕福ではない人たちは100円が無いがために一家心中を図るといったケースがあるのだと言います。
つまり、大きな事件ほど小さいことで、小さい事件ほど大きなことなのだという価値観が布施の中にはあったのだそうです。
だからこそ、布施は弱者に寄り添い、弱者のために奔走したのですね。
4.さいごに
今回は、『弁護士 布施辰治』についてご紹介しました。このブログでご紹介した場面以外にも本当にたくさんの見どころがあり、あっという間に時間が過ぎてしまうような作品でした。
池田博穂監督のドキュメンタリー作品『弁護士 布施辰治』はキネマNETでレンタル視聴することができます。少しでも興味が湧いたら見てみてください。
布施辰治について知っている人も知らない人もぜひ見てほしい作品です。
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戦中・戦後に活躍した活動家、布施辰治の人生の軌跡を追いながら、いま一度、平和について思いを馳せてみてはいかがでしょうか。